構造設計アーカイブ

易しくない橋梁工学

著者 : 名古屋大学名誉教授・埼玉大学名誉教授 工博  島田 静雄 (経歴

掲載誌 : 橋梁&都市 PROJECT

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はじめに
 橋は建築物ですが、一般の建築技術者が簡単に設計に参加できない特殊な専門分野を構成しています。その理由は、空間を渡して支えようとする荷重が非常に大きいので、小規模の住宅建築にあるような、試しに作ってみて工合が悪ければ後で手直しする、といった実践的・経験的な方法が不可能だからです。橋梁は、力学を応用して構造の性質を解析しておかなければ設計図を作成することができません。普通の意味で設計というと、まず図形を描きますが、橋梁の場合にはむしろ構造計算が先行します。そのため、数学的な解析の方に興味が集まり易く、建設される実物構造の性質とかけ離れた理論に走ることも少なくありません。理論の適用にあたっては、その理論の背景に古典的な定理・公理・法則を踏まえる必要があります。これらは構造力学や橋梁工学の入門のところで教えるのですが、あまりにも常識的であることが災いして、最近の教科書では省くことが多くなりました。そのため、何か噛み合わない議論で理論が信奉されることが増えてきました。この小文に構造設計アーカイブと副題を付けたのは、古典と考えられている定理・公理・法則を、もう一度蒸し返して解説するからです。科学技術は年々進歩していますので、古典の解釈も少しずつ変ってきています。この小文は基礎的な考え方から解説するようにしましたので、初学者向けの内容を多く含みます。最初、「易しい....」と見出しを付けることを考えましたが、中身は可成り難しいので、決して「易しく無い....」と言う意味を込めて、この見出しを付けることにしました。
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インターネット版について
 この「易しくない橋梁工学」は、島田静雄先生から(株)横河技術情報に、本資料のインターネット公開の話を頂き、ここに掲載しているものです。また本資料は、雑誌「橋梁&都市PROJECT」(発行:橋梁編纂委員会)に2003年5月号より連載で掲載されているものです。島田静雄先生および橋梁編纂委員会に対しましては、このような貴重な資料を掲載させて頂きましたことに対しまして、この場をお借りしましてお礼申し上げます。
(記:株式会社横河技術情報)