プログラミングアーカイブ

易しくないコンピュータプログラミング

著者 : 名古屋大学名誉教授 工博  島田 静雄 (経歴

掲載誌 : 橋梁&都市 PROJECT

目次へ

はじめに
コンピュータの開発目的の始まりは計算機械にあったこと
 筆者の専門は橋梁工学です。橋は、鉄道の車両、道路の自動車などの大きな荷重を空間で支える構造物ですので、試しに作ってみて、具合が悪ければ手直しをすると言った、気楽な方法で建設することができません。そのため、詳しい形状と寸法を指定する設計図を描く前に、注意深い構造計算をして安全を確かめます。この計算に、コンピュータを含め、種々の計算機を利用してきました。そもそも、科学技術の計算は専門ごとに固有で特殊な性格があります。お金がからむ事務処理の計算の方が一般的ですし、需要も広いのです。計算は手間が掛かりますので、昔から、間違いをしない計算をするための種々の工夫と努力がされてきました。コンピュータの開発の経緯は、弾道計算を素早く処理したいとする軍事目的が出発でした。しかし現代社会のパソコンの普及と利用の殆どは、Microsoft社のOfficeツールで代表されるように、事務的な処理を対象としていて、技術計算が表に現れなくなっています。

プログラムは常に更新が必要であること  コンピュータが利用できるようになったのは、技術の歴史から見れば、つい最近のことです。コンピュータを使わない手作業レベルの計算ができる知識も必要です。コンピュータは、計算のために利用する道具の一つに過ぎませんので、使い方の技能と技法とが必要です。しかし、便利な道具だと信じ、頼りきって、コンピュータが利用できなければ白痴同然になるのでは困ります。コンピュータ システムは次々と新しくなりますので、あるプログラムが次世代のシステムになると全く使えなくなることの方が普通です。したがって、プログラムは、継続的に更新して管理しなければなりません。技術計算に利用するプログラム資産の代表は、以前は殆どがFortran、 N88Basic、 Quick Basicなどで書かれたものです。現時点でのプログラミング言語の代表がVisual Basic(VB)です。VBの動作環境は、それまでのコンピュータの利用環境とはかなり違いがあります。また、今後どのように変化していくかの予測ができない危険もはらんでいます。しかし、どの場合であっても、以前の環境を発展させたものを多く含みます。そこで、以前のプログラムが、どのような仕組みで作られ、動作するかの知識を踏まえ、新しいシステムに対応する必要があります。

プログラミングは難しいものと心得ておくこと
 コンピュータ プログラムは、何を目的とするかによって固有の習慣とスタイルがあります。コンピュータ処理は多種多様です。ここで解説する項目は、橋梁の設計に利用することにやや偏りますが、総花的な解説よりも焦点が具体的である方がよいと考えました。一般の事務処理で使われるOffice関連のソフトウェアも積極的に応用しなければなりません。賢いプログラミングには、遠回りのようですが、アーカイブ(記録文書)的な知識の「おさらい」が必要です。一般的に言うと、コンピュータ プログラミングは、書店に並ぶ口当たりの良い「易しい…」「始めての…」「簡単に覚えられる…」「猿でも分る…」のような表題のついた解説書を読んで理解できるほど単純ではありません。プログラミングの本質は難しいもの、と覚悟を決めて取り組むべきでしょう。そこで、この解説の表題に「易しくないコンピュータ プログラミング」と付けました。

インターネットを利用する教育システム
 この解説は、学校教育での利用と同時に、家庭でインターネットにアクセスして利用できるように、パラグラフ単位で記事が一画面に納まるように構成してあります。最初は、計算術に関わる基礎的な話題から始め、やや哲学的な説明をしてから、順次、具体的なコーディング方法などを連載で紹介して行きます。資料やプログラムなどは、別のウエブサイトから利用できるように計画中です。
目次へ

インターネット版について
 この「易しくないコンピュータプログラミング」は、雑誌「橋梁&都市PROJECT」(発行:橋梁編纂委員会)に2005年1月号より連載で掲載されたものです。この記事を補うため、雑誌の紙面では紹介できない種々の資料を付録の形にしてアクセスできるようにしてあります。
(記:株式会社横河技術情報)